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『カメラを止めるな!』マイナーな映画が口コミだけで大ヒット!


『カメラを止めるな!』

2018.8.29  TOHOシネマズなんば

監督>上田慎一郎  キャスト>濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰

監督&俳優養成スクール・ENBUゼミナールの《シネマプロジェクト》第7弾作品。

監督もキャストも無名な彼らが作り上げた渾身の作品、マイナー映画だから口コミで広がりました。

この作品が劇場用長編映画のデビュー作となった上田慎一郎監督は、オーディションで選ばれた無名の俳優たちとともにこの作品を作り上げました。
​他に類を見ない構造と緻密に練られた脚本、37分という長時間にわたるワンカット撮影のゾンビサバイバル映画を盛り込み、挑戦に満ちた野心作となっています。

2017年11月 初お披露目となった6日間限定の先行上映では、たちまち口コミが拡がり、レイトショーにも関わらず連日午前中にチケットがソールドアウトで最終日には長蛇の列ができ、5分で札止めとなる大盛況で、公開を望む声が殺到し、都内2館での劇場公開されました。


この映画に限っては、絶対にネタバレがゆるされないのですが、ゾンビ映画の撮影中の一コマで、主演の若い男性がゾンビとなって、恋人に襲い掛かろうとしています。斧を両手で持ち、「やめてー、やめてー」と叫びながらあとずさりしながら、逃げ場を失った彼女はゾンビの彼に襲われてしまいます。そこで「カット」と声がかかりますが、この彼女の演技に納得のいかない監督は彼女に罵声を浴びせ、ゾンビの彼にも普段から気に入らないと、つい感情にまかせて怒鳴り散らします。

いったん休憩することになり、主演の二人と、メイクの女性の三人で雑談を始めます。撮影しているこの浄水場跡の廃墟は、実は戦時中に恐ろしい実験が行われていたといううわさがある、とメイクの彼女が言うと、表で大きな音がして、三人はドキッと一同に驚きます。外から片腕のないスタッフがいきなり血まみれだ入ってきて、三人はどうせいたずらだろうと驚かないのですが、倒れてきたそのスタッフの様子に本当に死んでる、、ということに改めて驚きます。

ゾンビ映画の撮影に来てるのに、本当にスタッフが異常な状態で殺され、そして、三人で逃げたいけどゾンビが襲ってきて、、、、とにかく廃墟の中を逃げ惑うことになります。

必死で逃げているところに監督がカメラを片手に登場し、「そうだよ!その表情だよ!」とNG続きだった彼女を撮影しながら追いかけます。自分の作品に必死の監督と本気で逃げている出演者たちの異常な状況が続き、37分間ワンカット撮影のゾンビ映画が出来上がります。

ゾンビ映画の最終シーンと共に監督やキャストのエンドロールが流れ始めます。このとき、観ているほとんどの人は「なんじゃこれ?」とあまりのB級感のゾンビ映画を見せられたことにわずかながらも怒りを感じるはずです。私も「は?」って思いましたよ。。。まぁ、実はこの裏切られ感が逆にあとの展開にちょっと味わうことのない変わった感情に発展していきます。

ここからの展開を観てない人にお知らせすることができないんですよ。とにかく、この超B級ゾンビ映画はなぜこんなにもところどころおかしなところがあったのか色々解明されていくのですが、これがほほえましく、面白く、ほのぼのといい気持ちにさせてくれるのです。これぞいい意味での裏切りです。

最初は2館だけの上映だったのが口コミでどんどん広がり、本当にいいものって口コミなんですよね。

なんか、いい映画らしい、という情報だけで見に行くのがベストですね。有名な俳優が一人も出ていないですし、作品の評価がしやすい映画です。面白いです!


★「ウディネ・ファーイースト映画祭 2018(イタリア)」《シルバーマルベリー(観客賞2位)》
★「ファンタスポア2018(ブラジル)」《インターナショナルコンペ部門・最優秀作品賞》
★「ハンブルグ日本映画祭 2018(ドイツ)」上映
★「ニッポンコネクション 2018(ドイツ)」NIPPON VISIONS部門・上映
★「さぬき映画祭2018(日本)」招待上映
★「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018(日本)」《ゆうばりファンタランド大賞(観客賞)》
★「ゆうばり叛逆映画祭2018(日本)」《特殊効果賞》《優秀作品賞》

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