2019年に公開された映画

インドの映画『ガリーボーイ』はラッパーのお話しです。


ガリーボーイは実在のアーティストの半生を描いています。

<あらすじ>

ムラドはインドのスラム街ムンバイで育った低所得者層の大学生です。

父は金持ちの家で従事する使用人で、ムラドは小さな家で両親と弟妹と祖母で暮らしています。

ムラドの母はお金を工面し、なんとか大学を卒業していいところに就職してほしいと願っていましたが、父は大学こそ行かせているけれども現実的に卒業後にいい企業に就職できるなんて、思ってもいませんでした。それくらい格差社会が根深いのです。

ある日ムラドは大学のステージでラップを披露しているMCシェールを見て感激し、ラップに興味をもちます。自分で作詞したものをシェールに見せるとセンスがいいと褒められ、自分の言葉は自分で歌うようにと言われ、テンポとノリを勉強するようになります。

家族には隠れてラップを学び、YouTubeにアップした自分の動画を見た人から声をかけられたり、ビュー数がどんどん増えて行くことにうれしくなり、ますますラップにのめりこんで上達していきます。

ある日、ムラドのことを知ったプロデューサーのスカイが一緒に音楽を作ろうと、ムラドとシェールに声をかけてきます。

早速ミュージックビデオの撮影をし、ますますムラドは有名になって行きます。そのことが厳格な父にばれてしまい、「使用人の子は使用人にしかなれない、夢を見るだけ無駄だ。大学へ行くのにどれだけのお金を使ったと思ってるんだ。」と罵倒します。

一度は夢をあきらめかけるムラドでしたが、やはり自分の思いを沈めることはできず、すべてを捨ててラップのコンテストの会場に向かいます。

ムラドの父親も恋人のサフィナも結構な暴力っぷりです。

とにかくムラドの父親は厳格。母親にも手をあげるし、もちろん息子たちにも容赦しません。昔の日本と似たような雰囲気を感じました。

アメリカの文化がたくさん入って来た高度経済成長期から日本も躍進して行ったわけですが、それまでの日本も封建的で絶対的な父親の強さがありましたし、父親への口ごたえが許されませんでしたしね。ムラドの家庭はそんな感じなのです。

ムラドの家庭は父親が厳格ですが、ムラドの恋人のサフィナの家庭は母親がすごく強い。この母親は家の品格を守ることに必死で、こちらも娘の意志を尊重したりせず、無理やり見合いをさせて娘を結婚させようとします。

しかし、サフィナ自身もなかなか怖い(笑)

ムラドに近づく女性にはだれであろうと暴力でかたをつけます(笑)ムラドにメールを送った相手には殴りこみに行き、ムラドのプロデュースをしているスカイを疑ったときにはビール瓶で殴ってけがをさせます。なかなか強烈な恋人です(笑)

という個性の強烈な人がたくさん出て来るので見ていて飽きません(笑)

スラム街から抜け出したいムラドは夢をあきらめません。

インドの格差社会にガリーボーイは夢を与える存在です。

私はインドのことをあまり知らなかったんですけど、ここまで格差があったということや、家族を養う絶対的な父親の地位と傲慢さに驚きました。

いくらがんばっても、いくら勉強しても、いくら夢を見ても、使用人の子は使用人なんだ、、、と決めつけている父親。それをムラドは自分の動画を見てたくさんのファンがいることを見せ、枠から飛び出すことができる時代なんだと勇気をもって父親を説得します。

インドは日本と違って宗教の色も濃いですし、今までの慣習を変えてしまうのはなかなか難しいことだとは思いますが、やはり自由な発想、自由な思想、自由な人生が尊重できる社会になるともう少し国も発展してくるんじゃないでしょうかね。。

自由であるがために乱れてしまうということも多いにありますが、決めつけられて生きるのもつまらないですもんね。

上を向かずに前を向いて生きろというお父さんですが、だれにでも可能性はあるんですから、どんな状況でも上を向いて生きて行きたいものですね。

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