『ゲティ家の身代金』観ました。
2018.5.30 なんばパークスシネマ
1973年にローマで本当にあった身代金目的の誘拐事件のお話。誘拐されたのは、1960年代に石油で大儲けしたゲティ家の16歳の孫ポールです。
もちろん彼が大金持ちのゲティ家の孫であるということを知っての犯行で、最初に要求してきたのは1700万ドルです。
当時ポールの両親は離婚していて、彼は母のゲイルと暮らしていました。1700万ドルなんていう大金を用意できるはずもないので、別れた夫の実家であるゲティ家にお金を用意してもらうようにお願いしに行きます。しかし株取引に忙しいゲティは相手にせず、事件を知ったマスコミのインタビューにも「金は出さない」と宣言するのです。一人の孫が誘拐されて、多額の身代金を払えば、ほかにもいる孫たちも誘拐されてしまう、、、というのが理由です。
ここから事件は難航していきます。とにかくゲティは無駄なことにはお金を払いたくない、という主義なので、ホテルに泊まっても洗濯は自分でして部屋の中に洗濯物を干していたり、家の中に電話ボックスを設置し、客が電話をかけたいときは電話ボックスを利用してもらうという徹底ぶりです。母親のゲイルはそんなゲティがあてにならないので、元CIAの人質交渉人と色々策を練ります。
ある日、誘拐犯の仲間割れで殺された一人の死体から身元がわかり、誘拐犯のアジトを突き止めます。大勢の警察官がアジトを囲み、襲撃したことで犯人は何人か射殺されますが、グループのリーダーのチンクアンタとゲイルの姿がそこにはありませんでした。もしかしたら狂言誘拐ではないかと思われていた事件だったのですが、これでちゃんとした事件であるということになります。
犯人から提示されていた1700万ドルなんて払えないと訴えるゲイルと、何度か交渉をし、金額は少しずつ下がっていくのですが、まだ信用しきれていないゲティは依然としてお金を出す気になりません。その後、業を煮やした犯人はポールのからだの一部を切除し新聞社に送り付けます。それを知ったゲティはとうとうお金を出す気になったのですが、身代金を息子に貸すということにして、身代金も税金対策に利用しようとします。
ゲティは世界で一番の大富豪ということなのですが、このケチっぷりはなかなすごい!孫がどこまで可愛かったのか、ちょっとそこらへんはよくわかりませんが、やっと身代金を出す気になっても、それで税金対策に利用しようとするところの発想が、さすが自分で財を築いた人、って感じです。
ゲティは基本、モノしか信用できないという人で、美術品のコレクションの数がすごかったみたいです。美術品を買い集めたり、宮殿のような別荘を建てようとしていたり、人間で信用していたのは執事だけです。
誘拐されたポールは、犯人のチンクアンタから身柄を売られてしまうのですが、ゲイルとの交渉はそのままチンクアンタが継続しています。だんだんポールの身を案じるようになって来るチンクアンタは、早くしないとポールが殺されてしまう、と焦ってきます。
こんな風に変化してくるチンクアンタや、なんとか息子を助け出すために奔走するゲイル、お金にしか興味がないゲティ、彼らのあまりにも普通とかけ離れた環境や考え方に感情移入はできないですが、こういう世界もあるんだなーー、と別世界をのぞき見しているようなそんな映画でした。
最近、ゲイル役のミッシェル・ウィリアムズですが、私は彼女を見るたびに、ご主人の亡きヒース・レジャーを思い出してしまいます。ホント、惜しい人を早く失くしましたよねーー。