2004年公開のドイツ、オーストリア、イタリアの共同制作の映画
主演>ブルーノ・ガンツ
監督>オリヴァー・ヒルシュビーゲル
「ヒトラー~最期の12日間~」のあらすじ
ソ連軍の攻撃により、敗戦間近となったドイツ。
ベルリンの地下要塞で過ごすアドルフ・ヒトラーの様子を映画化したものです。
ヒトラーの元へ秘書としてやってきた女性の独白から物語は始まります。
彼女は敗戦からさかのぼって数年前に、ドイツ軍のヒトラーの秘書として、
地下要塞へやってきます。
家族からは反対されたけれども、自分の好奇心に負けて、秘書となりました。
地下要塞では、地上での激しい戦いの様子は音と揺れでしか伝わりません。
また、ヒトラーとその側近たちに限っては、戦時中とは思えない暮らしぶりです。
酒を飲み、ピカピカのナイフとフォークでの食事、外の空気は吸えないけれど、廃墟へと変わって行く地上とは、全くの別世界です。
そこで、ヒトラーは幹部を集めて地上での作戦を練ります。
しかし、ヒトラーが思っている以上にドイツ軍の戦力は落ち、幹部たちは、
降伏や、ここを逃げ出すことを助言したりします。
ヒトラーは何があってもここを去ることはないし、降伏する気もない、自分の計画した通り、配置に着くように、と、怒鳴り散らします。
その後、もう、負けが決まったと確信したヒトラーは、妻と共に自殺をするので、自分たちの亡骸は絶対に焼いてくれと、部下にそのことを託します。
ヒトラーの作戦に胸を痛めている部下もたくさんいました
この女性秘書は、敗戦後も逃げ切って、それから何年か経って、自分の所属していたナチス軍での自分を悔いるようになったそうです。
ヒトラーの指揮の元に、ユダヤ人の大量虐殺が行われましたが、自分には関係ないところで行われたことだ、と、切り離して考えていたのですが、被害者の経歴を見て、自分と同じ生まれの女性がいたことを知り、後悔の念がうまれたそうです。
地下要塞でのシーンがほとんどなのですが、停電になりそうになったり、爆撃で振動こそありますが、かなり頑丈な要塞です。
一部屋ずつは広くはないですが、攻撃による死の心配はなく、寝食の補償もあります。
総統としての彼は、とっても独裁的で、自分の意見以外には誰の言うことも聞きません。
しかし、食事中や、歓談しているようなときは、とってもやさしい紳士です。その二面性が極端でもあります。
ヒトラーの最期はひっそりとしていました
部下たちは、国民の犠牲のことを心配しますが、ヒトラーは自分の理想の帝国を作り上げるためにはそんな犠牲はなんとも思いません。
『あなたは国民の総統なんですよ』と言われても、『選んだのは国民だ』と悪びれます。
この作品でのヒトラーは、側近たちから愛される様子と、残虐な面とが描かれてますが、ヒトラーが冷酷であっても、人を動かす力をイマイチ感じられませんでした。
敗戦間近なので、ヒトラーに力がなくなってしまった時期でもあるんでしょうが、この人が総統になった凄さみたいなものがわかったら、もっと良かった気はしました。
物語は結構、淡々と進みます。
ヒトラーが認めた人は、自殺用の毒を持っていて、滅びたときは、生きることよりも死を選んでほしいという彼の願いだったようです。
自分の理想の帝国を作ることに失敗した男は、恐ろしい数の人間を殺してしまった結果だけが残っています。
なぜこんな独裁的なことが行われたのか、歴史は深いです。