映画のこと

カンヌ映画祭で「万引き家族」がパルムドール賞受賞。


第71回カンヌ国際映画祭(2008年)で、是枝裕和監督の映画「万引き家族」が最高のパルム・ドール賞を受賞しました。

カンヌ国際映画祭は、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭の世界三大映画祭の一つで、1946年以来毎年フランスの南部、コート・ダジュールで5月に開催されている映画祭です。

まず、最高賞がパルム・ドール、その次がグランプリ、そして、監督賞、男優賞、女優賞、脚本賞、審査員賞と続き、他にある視点賞部門、短編部門、などがあります。

その中の今回はその最高賞のパルム・ドール賞の受賞です。

カンヌ映画祭で好まれる映画と言いますか、ノミネートされる作品って、ほぼ社会的なことがテーマになってるものが多いです。
今回の「万引き家族」も同じくで、東京で暮らす一家は貧乏で、親の年金をあてにし、パートやアルバイトで生計を立て足りない分は子どもと一緒に万引きして生活するという暮らしぶり。

映画を観て、勇気をもらったり、楽しく幸せな気分にさせてくれるとか、そういう作品ってカンヌ好みじゃないんですよね。なんか、どうやっても上手く生きれない、なんでこんな生活なんだろう、抜け出せない、、みたいな生活を続ける人たちの話が多いから、見ごたえはあるけど、胸の奥にずっしり来る作品って感じで。

でも、ポスターなんかに「カンヌ国際映画祭 主演男優賞受賞」とか「カンヌ国際映画祭 脚本賞受賞」とか書いてると、つい観ちゃいますね。明るい話でないことはほぼほぼ承知で、見ごたえを求めて観ちゃいます。

カンヌで選ばれた作品って、社会的なことがテーマなものが多いわけですが、実際に社会的なことって、自分の周りのこと以外はテレビのニュースで知ったり、ドキュメンタリーを見たり、そういうことで知らない世界を知るわけですが、カンヌで受賞した作品はもちろんフィクションのものもたくさんありますが、でも、いわゆる小さな虐げられた世界や社会から見放されていると言っても同然の世界を取材してつくりあげてありますから、すごくリアルなものが多いです。

そういう自分の知らないかけ離れた世界、それは外国のある民族だったり、刑務所の中だったり、過ぎてきた歴史のなかだったり、そういうものを描かれているものを観て、観るこちらは怒りの感情や悲しみの感情ややるせない感情を抱きつつ、色々なことに気付かされるわけです。

そんな雰囲気をもった作品がカンヌ映画祭で賞をもらっているものが多いので、いわゆる万人受けする映画じゃないんですよね。アカデミー賞はもっと大衆を意識したものが多いので、悲しい作品にしろ、社会的な作品にしろ、だれでも何かしらの感動っていうものを与えてくれますが、いわゆる映画を観慣れてない人がカンヌ映画祭で受賞した作品だからって観に行くと、「あれ?」みたいなことになる気がします。

今回受賞の「万引き家族」にしても同じくで、いつもならまぁまぁ大手シネコンではやらないであろうこの作品が、興行収入が見込めるからでしょうね、やってますね。シネコンで。

で、私も大手シネコンで観てきたわけですが、結構な人が入ってました。でも、こういう地味な作品って、ミニシアター向けなわけで、環境はシネコンの方が見やすいですからいいんですけど、いい映画ってミニシアターで観るからこそ得した気分もあるし、むしろ大画面の必要もあまりないので、ミニシアターの方が集中して観れて、心の深いところにジーーーンと響いてくるって言いますかね、、、。受賞に振り回されず、大手シネコンでの上映に私はいかがなものか?と感じているわけです。

しかし、日本人が外国の映画祭で最高賞を受賞したというのは大変名誉なことで、うれしいことですね。

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