映画のこと

日本の社会問題が凝縮の映画『万引き家族』、カンヌ映画祭でパルムドール賞を受賞しました。


『万引き家族』観ました。
2018.6.13 なんばTOHOシネマズ

周りにはマンションが建つ東京のある町で小さな平屋で暮らす貧乏な家族のお話。
おばあちゃんの年金が家族の唯一の定収入で、その息子は工事現場で働く日雇いの仕事、妻はクリーニング屋のパート、その妹は風俗店で働き、夫婦の小学生の息子のショウタは学校へは行かず、父と一緒にスーパーで万引きを繰り返しています。
この家族はこうやって生計をたてているのですが、なぜか明るく暮らしています。

ある寒い日、ショウタと父がコロッケを買って家に戻る途中で、何度か見かけた幼い女の子が、マンションのドアの前で凍えてしゃがんでいます。いてもたってもいられない父が「コロッケ食べる?」と声をかけ、かわいそうだったので女の子を連れて帰ってしまいます。家で食事をさせ、眠ったその子をおんぶしてまた元の家に帰そうと家の前まで行くと、女の子の両親の罵り合ってケンカしてる大声が聞こえてきます。そして、こんな家に返すわけにはいかない、とまた戻ってしまいす。

女の子は「ユリ」といい、ショウタの妹としてこの家で暮らすことになりました。

学校へ通っていないショウタはいつもユリと一緒です。万引きも父と三人でやったり、あるときはショウタと二人でやったり、、。父から万引きは悪いことではなくて、店に並べてあるのは、まだ誰のものでもないのだから別に取ってもいいんだ、と教えられていて、でもあるとき、よく行く駄菓子屋のおじさんから「妹にはやらせるな」と注意を受けます。

なんとなく万引きはよくないことである、ということを感じていたショウタは万引きを失敗し、つかまってしまいます。

冒頭から親子で万引きの映像ですし、やばそうな家族であることはすぐわかります。そして、なんだか釈然としない家族構成、学校へ行っていない小学生、、。それが、ショウタの万引きの失敗から紐解かれて行きます。
ショウタは万引きを失敗して玉ねぎを抱えてスーパーを飛び出し逃げるのですが、店員二人に追い詰められて高架になっている道路を飛び降りてケガをし、入院となるので警察から親が呼び出されます。

警察が介入してしまうということで、今までにあまりにもやばいことを続けてきたので、彼らは逃げるしかないのです。しかし、家を出ようとしたところで逮捕となり、夫婦で警察で取り調べを受け、父は釈放されますが、その妻は有罪で収監されます。

実はこの妻はかつての夫からDVを受けていて、正当防衛ですが殺してしまっていたのです。その死体を庭に埋め、そして少し前に朝亡くなっていたおばあちゃんも家の畳をめくって穴を掘って埋めてしまいます。この罪をすべて妻が背負うことになりました。
ユリはもとの両親のもとに戻され、ショウタは施設に預けられます。ショウタは自分ではこの人たちの子どもでないことはわかっていたのですが、なぜここへ来たのか経緯はわかっていなかったのですが、彼もこの二人がパチンコ屋の駐車場から連れてきた子供だったのです。
風俗店で働く妻の妹も実は妹ではなかったり、、、結局この家族はほぼ他人の集まりだったのです。

最初から感じるこの家族の違和感が終盤になって解き明かされていきますが、虐待を受けていた子や、捨てられていたも同然の育児放棄状態にされていた子はこれからどうなっていくのか、幸せになれるのか、そこは今の日本の問題ですね。特に幼いユリは実の母親に「イヤ」と言えるようになっていましたが、まだまだ幼いこどもなので、親のストレスのはけ口となってしまう怖さがあります。

ニュースで虐待を受けていた子は一時期親から保護していても、親はまた迎えに来て虐待してしまうことが頻繁にありますから、これってほんと大きな社会問題です。

この映画、産みの親と一緒に暮らすことが必ずしも幸せではないということが訴えの一つであり、行政を食い物にしている家族も実際にいて、社会問題は底をつかないですね。

この『万引き家族』カンヌ映画祭でパルムドール賞を受賞しました!

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