モノクロの作品を2本紹介します。どちらもちょっとクセのある作品です。
『エドウッド』
1950年代にハリウッドで映画作りに精力的であったにも関わらず、作品は評価されず、失敗を重ねては借金を作り、日の目を見ることがなかったエドウッドという名前の監督の話し。
この作品でベラ・ルゴシ役を演じたマーティン・ランドーが各映画賞で評価され、アカデミー賞助演男優賞を受賞しています。監督はティム・バートンです。そもそもティム・バートンがエドウッドのファンで、この映画を作ったそうです。
1950年代ですから、特撮なんてものはないのでとっても手作りでお粗末です。でも、エドウッドは一生懸命で楽天的で、元気で、友人たちから愛されています。そんな彼はオーソンウェルズに憧れていて、自分も第二のオーソンウェルズになることを目指しています。そしてエドには女装趣味もあり、恋人にそれがばれたときにはさすがに驚かれ、あきれられてしまいます。でも、エドの女装への欲は抑えられず、撮影現場でも女装するのが平気になります。
かつてドラキュラ映画で人気を博したベラ・ルゴシと出会い、エドの映画への出演を依頼します。しかしルゴシはかつての栄光の姿はなく、薬物中毒のすたれた老人となっているのです。なんとか作品はできあがりますが、これがまた散々のできで、小さな劇場でしか上映されませんでした。その後ルゴシが入院することになり、心臓発作を起こして亡くなります。
ルゴシが亡くなったことで気力を失っていたエドはバーで憧れのオーソンウェルズに出会います。彼から信念を曲げずにやりたいようにやれ、と助言をもらい、製作中の映画でスポンサーの言うことをきかず、やりたいように撮影しました。
その後も自分の信念のもと映画作りを続けますが、酒に溺れるようになります。そして1978年に死去したあと、新世代のルゴシのファンが出てきます。
この映画はなかなか地味なので、ちょっと気合い入れて観ないと眠くなります。エドを演じるジョニーですが、目をパチクリさせて表情にすごく愛嬌があって、いい人感がでています。エドのまわりの俳優たちもいい人ばかりで、逆にエドの魅力が周りの人たちをみて感じます。ちょっと昔風の変わった映画観たい人にはおすすめです。
『デッドマン』
主演のビル・ブレイクをジョニー・デップ、監督、脚本をジム・ジャームッシュ、音楽をニール・ヤング
時代はウェスタンで1870年頃です。
イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの詩の引用がいくつも本編にあるらしいのですが、私はその詩もその詩人も知らないのでわかりませんでしたが、でも、「は?」っていう意味のわかりづらい会話もところどころあったので、たぶんそれだと思います。
汽車に揺られるブレイクのシーンから始まります。彼は、初めてやってきた土地で会計士の仕事を求めてやってきました。思うように仕事に就くことができなかったのですが、その夜知り合った女性と一緒にいると、男がやってきてブレイクと一緒にいる女性に腹をたて、発砲します。ブレイクをかばった女性は死に、ブレイクも撃たれるのですが、ブレイクもその男に発砲し殺してしまいます。男の父親がブレイクに懸賞金をかけて殺し屋を雇い、ブレイクの後を追わせます。
深い傷を負ったまま山の中で気を失っていたブレイクは撃たれた銃弾をからだから取り出してくれている男に気付きます。その男はノーボディという名のインディアンで、ブレイクは命を助けられます。傷の手当てもしてもらい、大事に扱ってくれていたノーボディはブレイクの名前を聞き、イギリスの詩人のウィリアム・ブレイクだと思い込みます。ますます敬意を払い、ブレイクとノーボディの旅が始まります。
旅を続けていく中で、気弱な青年だったブレイクが平気で人を殺してしまうようになったり、殺し屋が仲間割れをして一人を殺してしまったり、またブレイクが撃たれたり、、、色んなことが次々と起こり、最後はブレイク一人をボートに乗せて、ノーボディも追ってきた殺し屋もみんな死んでしまいます。深い傷を負っているブレイクもボートの上で目を伏せて終わります。
この映画、監督がジム・ジャームッシュですから、おしゃれっていうんですか、カッコイイっていうんですか、なんともいえない独特のおしゃれ感なんですよ。モノクロの映画ですが、きっと画が、構図が、いいんですよね。自然になんとなくそのシーンの画が思い出されます。ストーリーはただただ不思議な感じで、時代も設定も昔なので、なおさらです。観ていて驚きもないし、感動もないし、じーーーっとただ映像を観てるだけで、なぜか印象に残ってる、ほんとに不思議な映画です。音楽も、ニール・ヤングのギターで、グィ~~~ンっていうのが鳴ってます。これもさすがに印象的。
ジム・ジャームシュの映画はオシャレに尽きます。