映画のこと

『ダンケルク』ノーマン監督が描くダイナモ作戦。


『ダンケルク』

監督はクリストファー・ノーラン、主演フィン・ホワイトヘッド

ダンケルクとはフランスの地名です。第二次世界大戦のまだ初期の頃、ドイツ軍の勢いがよくて、連合軍はどんどん押され気味で次々とドイツ軍は領土を広げていました。フランス軍、イギリス軍もドイツ軍に包囲され逃げ場を失ってしまい、とうとうフランスの海岸のダンケルクまで追い詰められていました。どうすることもできない兵士たち約35万人を助け出すための作戦がダンケルクの戦い(ダイナモ作戦)と呼ばれるものです。

映画では、青年兵士が味方のイギリス兵士たちといたところにドイツ軍から攻撃を受け、ダンケルクで助けを待っていたイギリス軍のところへ命からがら逃げこみます。海岸で戦死した兵士を砂に埋めている青年に出会い、そこから二人は行動を共にするようになります。しかし、二人は自己紹介するわけでもなく、故郷の話をするでもなく、しゃべりません。主にこの逃げこんできた青年兵士を中心に話は進みますが、でも、この彼の何も描かれません。特に感情も描かれませんし、名前、生い立ち、家族、所属、、、また、他の出演者に関しても同じくで、空軍の兵士のシーンもありますが、一人をクローズアップしますが、一兵士というだけで、特別にその彼を描き出したりしません。

ダンケルクの戦いはただ救助を待っていた兵士の話、というのではなく、この救助に向かったのが民間の漁船やプライベートのボートなど、イギリスの有志たちが自分たちの船で救助に向かったというものなのです。

途中で、今まさにダンケルクに向かっている民間の船が、撃墜された飛行機が海に浮かんでいるのを見つけます。そこに操縦士が一人いて助け出します。兵士は向こうは危険だからイギリスに戻れと言います。でも、船のオーナーは自分たち世代が始めた戦争で若者が犠牲にあっているのに見捨てるわけにはいかないといいます。武器もないのに、こんな民間の船で何を考えているんだ!と兵士は言いますが、武器を持っていてもやられたんだろ?と、船のオーナーは強い意志でダンケルクに向かうのです。
このシーンはいいですねー。

海岸で待っていた兵士たちも何度も脱出を試みるのですが、失敗が続きます。最後は他にもたくさんの民間のボートや漁船が群れをなしてダンケルクに到着し、たくさんの兵士を乗せてもとのイギリスに戻って行きます。

最後の最後にみんなを船に乗せた後、指揮官のハロルド・アレクサンダー少将が自分はまだ乗船しないで、フランス軍の救助も見送ってからだ、、と言って、船に乗らないんですよ。こういう人が上に立つ人なんですよね。これでなくっちゃ、ですよ。


この映画、戦争のことに興味がない人はたぶん退屈すると思います。歴史の背景がわかって観ると、へー、こうやって救出したのかー、、みたいな思いもあると思いますが、ただなんとなく観ると、映像自体も地味ですし、あんまりドラマらしいものもないですし、いわゆる感動っていうのは難しそうなので、まずダンケルクの戦いをさらっと勉強してから観るのがオススメです。

私は、少し前に『ウィンストン・チャーチル』を観たのでわかりやすかったです。
チャーチル
イギリスも押され気味だったので、ドイツと条約を結んだ方がいいんじゃないか、と議会で話が出ていたのですが、チャーチルはドイツの傘下に入ることを拒み、本土戦になったとしても自分たちは戦うという市民の声を聞いて、ドイツと条約は結ばずに戦ったのです。自分たちの船で兵士を助けに行ったといのもそういう意思の強さを感じます。

第二次世界大戦の映画に興味があるならおすすめです。

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